テクノの聖地と言われているドイツ。1989年ベルリンの壁が崩壊したことにより、廃墟と化した街の中で若者たちがカルチャーを育み、テクノシーンが西ドイツと東ドイツの象徴として開花した。
ドイツではテクノ発祥の地アメリカデトロイトから、よりレイヴ的要素が強く影響し、アグレッシブで硬質なビートサウンドになった。これがいわゆる ジャーマンテクノ となる。
ドイツを拠点に世界で活躍している、ジャーマンテクノアーティストを紹介する。
Sven Vath
Sven Vath(スヴェン・ヴァス)はドイツ出身のアーティストである。ドイツのテクノカルチャーでは外せない [Cocoon] を創設。レーベルを発足し、数々のトップDJ達のブッキングやエージェンシーのビジネスを。そして自身のDJアーティストとしての原点となった、イビザ島ではAmnesiaで彼のレーベル・パーティー「Cocoon Ibiza」を。1シーズンで8万人を動員、イビザ島の夏を代表する人気イベントとなった(現在はAmnesiaからPachaへ)。アンダーグラウンドミュージックの先駆者である。
2022年には20年ぶりとなる自身のレーベルCocoonからソロ・アルバム Catharsisをリリース
そしてなんと2023年の大晦日、渋谷WOMBのカウントダウンパーティーに出演が決定している。
もうすぐ還暦を迎えるスヴェン。今なお一貫したレコード盤でのplayスタイル。意のままに操り、すばらしい音楽センスで最高のパフォーマンスを繰り広げている。そして常に音楽に対する情熱を燃やし、フレッシュな心を持ち合わせ、精力的に活動している。
Ricardo Villalobos
Ricardo Villalobos(リカルド・ヴィラロボス)はチリ出身だが、ドイツに亡命。ハウスアーティストとしても名高いが、テクノアーティストとしてもミニマル・テクノの帝王とも言われている。先述したスヴェン・ヴァスのCocoon Ibizaに参加するようになり、Cocoonの一員に。Resident Advisorの年間DJランキングでは07、08、10年に一位、8年連続トップ10入り。言わば達人である。
自身のルーツに深く関わりがある南米音楽。そのインスピレーションで織りなすサウンドは、エキセントリックでありながら、正反対ではあるが打楽器を感じさせるオーガニック要素もある。
Ben Klock
Ben Klock(ベン・クロック)はドイツ・ベルリン出身のアーティストで、今日のテクノを語る上で欠かせない人物である。ベルリンにある世界的なテクノクラブ [Berghain] のレジデントDJを、2004年オープン当初から務めている。この経験を経て、プロデューサーとしても独自路線を展開。自身のレーベル [Klockworks] を設立し、数々の名作品をリリースしている。
名作といわれている2010年のミックスCD Berghain 04
ベルクハインのレジデントDJという実績もあるベンのサウンド。スピーカーから放たれた途端、ストイックでダークな中にも、ミックステクニックのぬくもりがもたらす高揚感がある独特なテクニック。虜にされること間違いない。
Ellen Allien
Ellen Allien(エレン・エイリアン)はドイツ・ベルリン出身のアーティストである。テクノ女番長と言われる名の如く、女性DJの草分け的存在に。最先端の音を生み出しテクノカルチャーを牽引している。DJやプロデュースとして世界中を周り、その名を轟かせている。自身のレーベル [Bpitch Control] を運営。2000年代のジャーマンテクノを代表するアーティストを輩出。レーベル内でウエアのデザイナーとしても活躍している。最近では新レーベル [UFO inc]も設立した。
貪欲に音を追い求めて世界中飛び回り、信頼と実績を積んできたエレン。その多忙極める日々で培われたサウンドは間違いなく一流である。そして名前からも想像してしまう宇宙。サウンドからも感じられる、エレン独特のSF的な世界観が脳内にはびこる。
まとめ
いかがだっただろうか。
90年代からテクノシーンをリードするアーティスト達は時代に埋もれることなく、情熱を絶やさず常にアンテナを張り巡らしている。むしろ最先端の音を生み出し続けている。そして自分のスタイルは決してブレることがない。そんな音楽センスは今後も多くのアーティストやファンを魅了し続けていくだろう。
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